DETONATOR RLCS 21-22 Winter Major出場記念、振り返る彼らの軌跡

RLCS kokken

本記事はRLCS21-22 Winter APAC Region代表としてロサンゼルスで戦う「DETONATOR」の活躍を祈念し、2018年からDTNメンバー”OLPiX” “mikan” “Burn” “Nunki”の軌跡を思い起こすものである。
LiquipediaやTwitterログ等を参考にしているが、筆者の主観や記憶を頼りにしている部分もあるため細かい誤謬等があった場合にはご容赦願いたく、なにか注釈や訂正があれば教えてほしい。

Red Bull 5G 2016の衝撃、そして続く2017年のAsia Pro League1(APL)やDTN Invitational (実は2017年時点で一度大会を開いてくれていた)を経ての新年。
「日本チームの強さはアジアでも随一」という認識が広まりつつあり、また発売当時からのプレイヤーと後発のプレイヤーがうまく混ざりあい始めたころ。
そんな2018年からシーンを振り返る記事としても楽しんでもらえれば幸いである。

第一章~2018~

オフラインイベントから始まる物語


1月13日、東京都豊島区南大塚、ゲーミング施設「スタジオスカイ」。
日本の各地からロケットリーグプレイヤーたちが集い、新年早々の寒気も気にせず和気あいあいとオフラインイベントを楽しんでいた。
彼らにとっての「スタート」はここだったのではないか、と筆者は考えている。


https://mobile.twitter.com/kokkenn/status/936204654752382976



これは会場内限定で行われたシャッフルトーナメントのメンバー表。
現シーンしか知らない人が見てもわかるだろう名前がそこかしこに散らばっている。
DTNの“mikan”、そしてコーチの”Nunki”。
この二人はこの会場がファーストコンタクトとなった。
同じく会場にいた“ReaLize”(現Tokyo Verdy所属)や”Kanra”(現Tokyo Verdy所属)、”Shaolon”(現Nimmt55所属)等の名ライバルたちはこの時点では彼らの一歩上を行く存在。

特にスター選手として世界的に有名であり2016年から日本シーンのトップに立ち続ける”ReaLize”のプレイを間近で見たことは、”mikan”を深く競技シーンに引き込む一つのターニングポイントとなったと彼自身が語っている。

プレイ中の”ReaLize”(画面中央着席)とぐるり取り囲んだギャラリー。(右端見切れているのは”mikan”)


そしてもう一人、”OLPiX”。
当時九州の高校生だった彼は、参加こそできなかったもののイベントへの憧れを抑えきれず、主催の筆者にリプライを飛ばしてきていた。


なぜか当人側からのツイートは消されているが、参加者の年齢層(自分に近いプレイヤーはいるのか知りたかったのだろう)を質問していたであろうログが残っている。

“OLPiX”はこの会場に来てロケリ熱気に当てられていた”niko2kanta”や”Nick”等と意気投合し、「Lively」というクランでの活動を活発化させた。
若年層プレイヤーが集まったエントロピー高めなチームで「どこまでもつかな」といった雰囲気を醸し出していた。
最終的にはやっぱり空中分解するのだが、そういった場独特の空気を共有したメンバーからは今も活躍するプレイヤーたちも多く生まれている。

大会シーンで頭角を現す”mikan”


この2018年は3月に現在まで続く伝統あるコミュニティ大会「oreRevo」がスタートするなど、現在の日本大会シーンのひな形が整う年となった。
そんな環境において”mikan”はいち早く頭角を表し、瞬く間に日本トップクラスのテクニカルプレイヤーとして名を馳せる。

7月に開催されたAsiaProLeague2.0 では、スタジオスカイに集った”Nunki”と”Mikan” そして”Dore52x”による「Paradox Gaming」が日本のトップチームとしてアジア勢と覇を競った。



一方のOLPiXは一ファンボとして筆者にAPLについての詳細を聞いてきていた。
あんま覚えてないけど筆者は多分「書いてあること聞いてくんなや」と若干キレている(そしてまたツイ消しされている)

12月、Logicool G Cup 2018開催。
「Paradox」は「Justice eSports」と名を変えついにオフライン大会まで進出。
神戸の地で当時アジア最強の「1NE GloryStone(”ReaLize” “Shaolon” “Kanra”)」と戦うなど、日本の第二の矢としての地位を確立していくかに見えた。

第二章~2019~

大型イベントに沸き、しかし消耗


2019年は年始からロケリシーンにとってのビッグイベントが目白押しとなった。

まずは2月、日本初の大型リーグ「PRIMAL」が開始。
6月まで続いたこの大会では昨年に引き続き絶対王者として君臨する「1NE」が”ReaLize”を筆頭に圧倒的な強さを見せ頂点に立つ。

対する「Justice」はなんとリーグ戦開始直後にロースターチェンジがあり”Nunki”と”mikan”が脱退。
大会自体はそれでも最終2位と奮闘したものの、”Nunki”の長期シーン離脱や「1NE」への対抗馬消失等、日本シーンにおける悲報として大きく界隈を揺るがす事件となった。


彗星の如くスプラッシュ散らすニューカマー

一方、「1NE」の”Kanra”に憧れ実力を高めつつあった”OLPiX”は12月から3月にかけて開かれた「第一回全国高校esports選手権」に出場。
オフライン決勝では”mikan”を擁するチームを破って幕張の特大ステージ上で一躍ヒーローとなり、怪しいチーム名も手伝い日本ロケリ界に突如その名を轟かす事となるのであった。
https://www.ajhs-esports.jp/archives/2018/news/2019/03/final_results_20190323-2.html

https://www.ajhs-esports.jp/archives/2018/img/gallery/day1/photo12.jpg
両チームの戦い。横浜清風の”Milla”選手が”mikan”である。
水を零すシーンやトロフィーの裏を見せるシーンは割愛。
“OLPiX”は第二回全国高校esports選手権でも準優勝という結果を残し、ランクもGCに到達。

その躍進の隣には、遅れて現れた現「DTN」の大黒柱”Burn”の姿があった。
“mikan”と”OLPiX”に比べて登場の遅い”Burn”だが、それもそのはず彼はSwitch版(2017年末配信開始)からロケットリーグを始めている。
しかし「Lively」解散後の”OLPiX”やその仲間たちと一緒にプレイする中グイグイと実力を伸ばし、「ポストReaLize」と評されるほどのセンスを見せ、大会シーンを賑わせていく。
7月からは「TFGaming」を結成し「oreRevo」やアジアのコミュニティ大会等へ精力的に参加、着々と日本シーンで存在感を増していくのであった。

更に”OLPiX”は日本やアジアシーンの向上を願い、アジアのコミュニティ運営にも積極的に参加。一プレイヤーとしてだけではなく、大会の周知・拡散などを積極的に行う模範的なプレイヤーとしてアジア勢からも信頼を勝ち得ていく。

第三章~2020~

迫るPsyonixの足音、OLPBurnの成長


上半期こそ目立った大会は無かったものの、アジア大会「Ketteisen Cup」等で着々と実力をつけていく「TFG」。
そんな中、遂に降ってわいたビッグニュースがアジアを震撼させる。

7月、Psyonix公式後援大会「The Kickoff」開催。

この大会に先んじて「TFG」は「HANAGUMI」(HN)として新生、「1NE」で活躍していた第一線プレイヤーの”shaolon”、更に大会シーンからは距離を置いていた”Nunki”をサブ兼コーチとして登録し盤石の布陣となった。

一方の「1NE」メンバー”Kanra” “ReaLize”は 日本組織の「Team iXA」(iXA)として出場。
3人目として登場したのが”Nunki”と同じく競技シーンから離れていた”mikan”。

現「DTN」のメンバー4人が、別チームながら揃って第一線へ姿を現した初の大会であった。

大会結果は1位「iXA」2位「HN」。
グランドファイナルではBo7の中で競る姿も見られたものの、未だ「iXA」の経験が勝る結果となった。
このときOLPiXはこんな名文を残している。

なのでもしあなたが更に上達したいのであれば、一番の秘訣はロケットリーグをプレイすることをやめないことです。そうすれば、いつの日か目標だったプレイヤーをぶちまかすことができるでしょう...
PS : Kanraさんは一生倒せそうにありません

https://note.com/olpix/n/n8df5606698d1

夏から年末にかけて行われた国内大型大会「ガリバーカップ2020」でも現「DTN」メンバーはそれぞれのチームで好成績を残す。
一方、Team iXAは現「Tokyo Verdy」メンバーとなる”Realize” “Kanra” “Tenhow”という日本最強ロスターを揃えこの大会でも優勝。
改めて2017年より続く「ReaLize・Kanraのチームが最強」というメタを確固たるものとした。


第四章~2021 - 2022~

「DTN」誕生


2021年はコミュニティリーグ大会「HBN#1」で競技シーンが開始。
濃密スケジュールの中で「HN」が強敵「Nimmt55」を破り優勝と幸先の良いスタートを切る。

更に春先に行われた二度目のPsyonix後援大会「APL NATIONALS」。
「HN」は健闘するも「iXA」そして「Nimmt55」に敗れ3位。
あと一歩でトップに手がかかるという面を改めて見せつけた。

7月、遂に彼ら3人は「DETONATOR」となる。
https://detonator-gg.com/official/20562/


https://twitter.com/DeToNator_GG/status/1399564807322300416

“OLPiX” “Burn”に加え、脱退となった”Shaolon”の穴を埋めるテクニシャン ”mikan”。

お披露目となった冠大会「DTN OPEN#1」及び「DTN OPEN#2」ではまだ調整不足の面もあり何れも2位に甘んじるものの、ポテンシャルの高さを感じさせるプレイを見せた。

RLCS 到来


2021年10月。
遂に、遂にアジアがRLCSの舞台に仲間入り。
ロケットリーグ発売の2015年から6年余り、遂に悲願が達成されたのであった。

そんなニュースをまるで予期していたかのようなタイミングで始動した「DTN」だったが、Fallシーズンでは未だ揮わず”ReaLize”が率いる「Verdy」に完敗。
長年のコンビネーションが培われている”OLPiX”と“Burn”に対し”mikan”がどこか遠慮してしまうようなプレイが目立っていた。

年始、RLCSシーズンの間を縫うスケジュールで行われた第四回高校esports選手権に”Burn”が出場し優勝。
これで「高e」は「DTN」メンバー全員がオフライン決勝に出場し、そのうち二人が優勝したことになる。

2月にはHANAGUMI時代からチームに関わっていた”Nunki”をコーチとして正式に「DTN」メンバーに採用。
「Paradox」「Justice」で“mikan”と一緒に競技シーンに臨んでいた”Nunki”の正式加入は「DTN」を上手くまとめあげる効果をもたらした。

役者が遂に揃い踏み、新体制で臨むRLCS次節。
「DTN」はどこまでプレイを向上させてくるのか、皆の期待は増々高まっていた。

第五章~Winter~

勢力図


「DTN」にとってWinterシーズンでライバルとなるチームは二つと目されていた。

「Tokyo Verdy esports」
Fall優勝、Major帰りの絶対王者。
アジアキングの名を欲しいままにする“ReaLize” 、その華麗なプレイはReaLizeと並び称される程の至宝“Tenhow” 、そして “OLPiX”が憧れ追いかけてきた大先輩 “Kanra”を擁する大本命チーム。

「Nimmt55」
Fallシーズンから「Verdy」を脅かしてきた対抗馬。
天衣無縫のプレイングでフィールドを支配し、Fallでも「Verdy」を脅かした”Popo”、スピード感と気迫のディフェンスでチームを引っ張る “Akikansu” 、そして「TFG」「HN」時代を共に過ごしてきた恩師とも言える存在”Shaolon”で構成される実力派3名。

これまでの日本シーンで煮詰まってきた因縁や関係性が凝縮されたかのような構図。
ファンからすれば胃が痛くなるほどに面白いそんな環境。
これまでになく実力差は縮まり、
「3強時代に突入か?」「いやVerdyのほうが上だ」「Popoが入ったNimmtがVerdyを倒せない道理はない」「DTNはプレイを変えて調子上向きなようだぞ」
等と様々な説が飛び交う状況。

舞台は整っていた。

Winter開幕



Split1、まずは「DTN」ではなく「Nimmt55」が魅せた。
「Verdy」をフルセットでのブラケットリセットから打ち破りジャイアントキリング。
連綿と続いてきた「ReaLize王朝」を倒したのだ。
このWinterは何かが起こる。
そんな予感をいきなり現実のものとしてくれた「Nimmt55」に日本シーンは沸き立ち、そしてそんな「Nimmt55」に2度フルセットマッチを挑んで敗れた「DTN」のプレイも高く評価された。

Split2、今度は「Verdy」が飽くなき勝利への執念を見せつけた。
前回の結果にどこか浮かれていた感のある各チームを「全日程1セットも落とさず」蹴散らし王座奪還。
冷徹なまでの強さを感じさせる仕上がりに思わず背筋が震える程。
「DTN」はまたしても「Nimmt55」と二度のフルセットマッチを戦い、辛勝の末「Verdy」との決戦に挑んだものの完敗。
「Nimmt55」との試合で見せたプレイの良さを出すことが出来ず、悔しい敗戦となった。

そしてSplit3。
結論から言えば、「DTN」は3位であった。
もはや名物と化した「Nimmt55」とのダービーは皆の期待に応えるかの如く2試合ともフルセット。
前回とは逆に、「Nimmt55」が決勝で「Verdy」に再び挑む形となった。
再現するかの如くフルセットリセットをかける「Nimmt55」が場を大いに盛り上げるものの、土壇場でSplit2の冷徹さを取り戻した「Verdy」が差し切って優勝。
RLCSポイントでは「Verdy」が一位、「Nimmt55」が二位となり「DTN」はAPAC代表決定戦の枠から外れてしまった。

しかし、「Nimmt55」が諸事情により棄権となり、繰り上がって「DTN」が代表決定戦へ出場。
彼らの思いも背負って戦う「DTN」はAPAC South 代表の「UHUH」「Gaimin Gladiators」を倒し「Verdy」とのグランドファイナルへ。

様々なドラマが重なり合ったこの大一番にて、「DTN」は飛翔した。

上位ブラケットで1セットのリードをもつ「Verdy」に一歩も引かない立ち回りで長期戦に持ち込む「DTN」。


かつて憧れ、肩を並べたこともある”ReaLize”との戦いを誰よりも楽しみ、華麗なテクニックと冴えわたる天性の勝負師勘でゴールを量産した”mikan”。
最年少ながらTeamを支える責任重大なプレーを常にこなし、「DTN」としてのプレイをまとめあげ続けた”Burn”。
ファンボーイ時代からライバルとなった今も尊敬してやまない”Kanra”を容赦のないBumpで追い立てたかと思えば、今までから一皮剥けたスマートなプレイを披露するなど相手を翻弄し続けた”OLPiX”。
二度のオーバータイムを含む全試合が一点差の白熱のBo7において彼らは今まで見せたことがないほどの完成度を披露。

ファイナルセット、最後の最後で点の取り合いとなったChampions Fieldに最後まで立っていたのは、彼ら「DTN」であった。


https://twitter.com/mikanRL_/status/1499386738560876545?s=20

彼らの勝利は、日本の新たなロケットリーグシーンを切り開く春一番となったと確信している。

もちろん、敗れた「Verdy」を切って捨てる気は全くなく、次節以降の奮起を願う事しきりである。
ただ、彼らをずっと追いかけ続けてきたその手が、遂に彼らの背に届いたのだ。
それは転じて、また彼らを押し上げる手にもなることだろう。

2022/03/01。
この日からまた、新たな日本のロケットリーグシーンを応援できる。

まずはMajor、ロサンゼルス。
新たな王者として世界へ挑むDETONATORに、心からの声援を贈りたい。


https://twitter.com/RLEsports/status/1505960591885684737?s=20




良ければ是非、ご一緒に。




以下、過去を振り返ると必ず脳裏を過る二人への私信。

P.S.1
貴方のことも”Kanra”と”OLPiX”の関係性に纏わる重大なファクターとして書きたかったけれど、どう書いても湿っぽくなるので厳しい。
先の代表決定戦はさぞ楽しかったと思います、天まで届いていれば良きかな。

P.S.2
君はさっさと戻ってきなさい。

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kokken
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